東京大学 < 地球惑星科学専攻 < 生駒研究室
知性とは、自分の意見を頑なに堅持することではない。 喜んで変化し、それらの意見を捨てる覚悟が必要なのだ。 この世界を理解するには、間違いを恐れずに着想を検証する勇気、 自分の意見を絶えず更新してよりよく機能させようとする勇気が必要だ。
わたしたちの知識は、この濃密な交流の網が絶え間なく発展した結果なのだ。 そしてわたしたちの最大の関心は、この交流にある。比較して、 さまざまな着想を交換して、互いの差異から学んで作り上げる。
規則より思いやりが大事な場所で(NHK出版) カルロ・ロヴェッリ著 冨永星訳 より引用
Carlo Rovelliさんの本を読んで
Carlo Rovelliさんの本は物理学の量子論や相対論の分かりやすい説明や解釈とともに、 Rovelliさんの学び、体験してきた多くの事柄が結び付けられて書かれている。 はるか昔の歴史や哲学から現代的な社会情勢まで述べられているが、引用した文章のように 科学のあり方、科学や研究そのものへの言及も多く述べられ、私は強く刺激を受けた。 ここに掲げる私の目標の着火剤は彼の言葉である。目標の原点とそれからの企画は私のアイデアであるため彼の思想ともしかすると 合わないかもしれないが、交流や協働の精神が科学を発展させるという考えは彼と同じである。
科学の専門化昔に遡るほど科学の境界は曖昧であった。著名な科学者は様々な学問で功績を遺し、今でいうところの境界を飛び回っていた。 現代の科学は専門化が進み、隣の建物、隣に座る人すら研究の大枠を理解できないことがある。 高度化した科学には境界を設けて各々の分野でより洗練されていくことは仕方のないことだと思うし、 科学の発展に望ましいことである。
境界にはしごを架ける私のやりたいことは、この高度化した科学の分野の間ではしご
をかけることである。
もちろん難しいことをやっているので全ての理解はできないであろうが、それでも研究の大枠や流行を掴んだり、面白さを
理解したりしたい。AIをはじめとする学際研究もあるが、私はそれよりも関連の無いように思われる分野どうしでもできる
理解の深め合いをしたい。これらは昔のように境界を曖昧にすることや高度化を止めようするものではない。
もう一歩お互いとお互いの研究を知ることで認め合い研究業界全体で盛り上げたいというのが私の思いの根幹にある。
具体的に分野の間ではしご
をかけて理解する方法は模索中である。
これまでの企画から悩みなどお互いの共有できるところから話すと理解しやすいことが分かった。
ただ研究を発表し合うのではなく、話し合うことが特に重要である。
そこで全科学者が研究を語り合えるプラットフォームによってこの目標が達成されると考えた。
科学者である以上研究を疑い議論することは必要であるが、述べたように一歩さらに理解をして認め合うことを目的としている。
疑うにしてもまずは分かることが必要である。
この目標の為に新世代研究交流会
などの企画をこれからも実行していく。